始まりの物語

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16歳になった日。 僕は施設を後にした。 施設の誕生日は施設に来た日だ。 僕は7歳の今日、この施設に入ったことになる。 この日は建国記念日だ。 王都ではお祭りが昨日からはじまっているらしい。 この町でも建国祭が行われている。 お祭り騒ぎの町を通り過ぎる。 僕は王都への道を歩き出した。 旅の支度は施設にいる間にした。 少ない小遣いを貯めて剣を買い、3日分の食料を買う。 バックは使い古した服を縫って自分で作った。 斜め掛けのカバンだ。 後は名前と所属の書かれたカードが16歳の誕生日に手渡される。 名前の欄に「クライシス」とある。 これが僕の名前だ。 所属の欄には「チルモア」とある。 これが施設の名前だ。 この所属は変わらない。 僕の正式な名前は「クライシス・チルモア」。 冒険者になるなら、登録したギルドの名前がここに追加される仕組みになっている。 このカードがないと王都へは入れない。 大事なカードだ。 それから、選別に持たされる10リラ。 これは最低賃金の初任給程度だ。 施設を出て、職場から給与が支払われるまでの間、このお金を使いなさいっていう町からの配慮だ。 素直にありがたいなと思う。
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