0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
16歳になった日。
僕は施設を後にした。
施設の誕生日は施設に来た日だ。
僕は7歳の今日、この施設に入ったことになる。
この日は建国記念日だ。
王都ではお祭りが昨日からはじまっているらしい。
この町でも建国祭が行われている。
お祭り騒ぎの町を通り過ぎる。
僕は王都への道を歩き出した。
旅の支度は施設にいる間にした。
少ない小遣いを貯めて剣を買い、3日分の食料を買う。
バックは使い古した服を縫って自分で作った。
斜め掛けのカバンだ。
後は名前と所属の書かれたカードが16歳の誕生日に手渡される。
名前の欄に「クライシス」とある。
これが僕の名前だ。
所属の欄には「チルモア」とある。
これが施設の名前だ。
この所属は変わらない。
僕の正式な名前は「クライシス・チルモア」。
冒険者になるなら、登録したギルドの名前がここに追加される仕組みになっている。
このカードがないと王都へは入れない。
大事なカードだ。
それから、選別に持たされる10リラ。
これは最低賃金の初任給程度だ。
施設を出て、職場から給与が支払われるまでの間、このお金を使いなさいっていう町からの配慮だ。
素直にありがたいなと思う。
最初のコメントを投稿しよう!