始まりの物語

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王都に向かう道中、魔物に2回襲われた。 1日目は建国祭の真っ最中ということもあり、町から王都への道には人がいなかった。 僕が一人王都に向かってた。 初めての道で人もいなくて不安になったけど、町を出る時に看板が立ててあり、「王都」と書かれた上に矢印が上向きに書かれていた。 この道を真っ直ぐに進めば王都に着くのだと確信できた。 道は舗装されていて、道なき道ではない。 道の途中でベンチがあったり、時々お店もあった。 ただ、その日は建国祭でお休みのようだった。 人が通る道に滅多に魔物が出ることはないみたいで、僕は1日目はの夕刻近くまで何事もなく歩を進めた。 日が傾き、辺りが赤く染まってくる。 1匹の魔物が姿を表した。 一見普通の野良犬のようにも見えたが、様子が違う。 口から牙が剥き出しになり、獰猛な唸り声をあげている。 明らかな敵意を感じる。 僕は初めての魔物に若干緊張した。 敵意は感じたが、施設にいた頃に時々感じた悪意は感じない。 純粋な敵意の方が心地よい事をこの時知った。 この魔物の特徴は何度も冒険者から聞いて頭に入っていた。 耳がよく、弱点は首。 僕はやらなければやられるという恐怖を糧に練習した剣で迎え撃つ。 毎日沢山振った剣の型は体に身に付いていた。 僕は剣を魔物の首目掛けて振り下ろす。 剣は勢いよく振り下ろされ、魔物の首をはねた。 僕は初めての手の感触に気持ちが悪くなる。 魔物とはいえ生き物を殺した。 その感触が手に残る。 僕は殺した魔物に手を合わせて炎を出して焼いた。 命を奪うならやはりきちんと血肉にしたい。 この犬型の魔物は肉を食べることができる。 これも冒険者に教えてもらった知識だ。 美味しくない肉を口に入れる。 本来は皮を剥いで素材を売ればお金になるみたいだが、今の僕には解体の知識がない。 ただ冒険者の話だと狩った魔物の証明部位を持っておくと狩った証になるらしい。 この魔物の証明部位は耳だった。 僕は耳をそぎ、火のそばに置いておいた。 そして、焼いた肉の中から魔石が出てきた。 この魔石も売れる。 僕は魔石と耳を鞄にいれた。
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