始まりの物語

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その日の夜は自分一人だけが入れる結界を張って木にもたれて眠った。 実は2年前に施設に訪れた魔術師の冒険者から結界魔法を教えてもらっていた。 僕は仲間が欲しいわけではない。 ソロの冒険者になる予定だったから、夜の過ごし方をずっと考えていた。 2年前にきた魔術師が結界魔法について教えてくれた。結界魔法は使える人があまりいないらしいけど、僕は教えてもらいながらやってみたら出来た。だから、練習の方法を教えてもらってその日から自分一人のための結界をはる練習を始めた。 結果、何とか僕一人分の結界ははれるようになり、張ったまま眠ることもできるようになった。 何事もなく夜が明ける。 夜が明けてすぐに結界を解く。 結界を解くのを待っていたように2度目の魔物と遭遇した。 2度目の魔物は蛇のような魔物だ。 蛇よりも太くて長い。 毒を持っているから気をつけなければならない。 息の根を止めると毒の効果は無くなるようなので、とにかく早く殺してしまうのが大切だ。 倒し方は二つ。 この魔物の上位種の毒をかける。 魔物を縦に二つに切り裂く。 輪切りにしても死なないどころか、切った分だけ増えてくるのだ。 僕はこの魔物のことも冒険者から聞いて知っていた。 知識って大切だなと思う。 知らなければ輪切りにしてしまうところだった。 僕は剣を下段に構えると今にも襲いかかってきそうな蛇型の魔物に向かって剣を一差し。 刺した場所から縦に真っ二つにする。 2度目の戦闘にしては落ち着いて出来た。 この魔物証明部位は舌だ。 舌を切り取る。 絶命したら、魔物の毒は無効化される。 僕は少し皮を剥ぐことが出来ないかやってみる。 真っ二つにした身を掴み、身と革の境に剣を差し込む。 そして革と身を切り離す。 切り離した身から透けて見えてる魔石。 僕は魔石を取り出した。 僕がそんな作業をしてたら王都の方から人が二人歩いてきた。 「お、にいちゃんいいもん手にしてんな」 「スネークアイズですね。上手に処理してありますね」 いかにも力の強そうな体の大きな男とその大きな男よりも背の高い少し痩せ型の男が僕に話かけてきた。 その二人に見覚えがあった。 昔施設にきた冒険者だ。 あの長身の男に剣を教えてもらった。 名前は覚えてない。 僕は二人に頭を下げた。 「ご無沙汰してます。チルモアのクライシスです」 二人は顔を見合わせて大きく目を見開いた。 「えぇーー!あんなに小さかったあの時の子?剣を教えてあげたよね?」 「そうです。貴方に剣を教えて貰いました。お陰で魔物も倒せました」 「お前、冒険者になったのか?僕は冒険者になって記憶を食べる魔物をやっつけるんだって言ってた奴だろ?」 「そうです、それ僕です。まだ冒険者じゃなくて、これから王都に行って冒険者になるんです」 二人は僕の顔を見て、感慨深げに大きく息を吐いた。 「あんなチビがこんなに大きく成長して、俺らが歳をとるわけだなぁ」 二人は嬉しそうに大きな男より上にある僕の頭を撫でた。 「ところでそのスネークアイズ。俺らにも食べさせてくれるか?調理はこっちでするからさ」 大男が良い提案をしてくれた。 死ねば毒は消えると聞いていたが、あまり自信がなかった。調理を見せてもらうのも参考になるだろう。 「一緒に食べましょう!調理の仕方を教えてもらえるの助かります」
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