始まりの物語

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始まりの物語

僕には7歳までの記憶がない。 7歳の頃には、僕は街の施設に入っていた。 同じ歳のニーナは0歳のころからここにいるらしい。 でも、7歳より前にニーナと遊んだ記憶はない。 だから、僕はいつのまにか魔物に記憶を食べられたんだと思うようになった。 世界には記憶を食べる魔物がいるって冒険者が教えてくれた。 施設には時々冒険者や教会のボランティアの人がやってくる。 おもちゃや美味しい食べ物、清潔な服を持って来てくれた。 冒険者の話は楽しくて、いつも彼らが来るのを心待ちにしてた。そして、いつか、この施設を出て僕も冒険者になるって決めてる。 僕はまだ10歳だ。 僕が冒険者になってもすぐに死んじゃうから「辞めとけ」とここに来る冒険者が口を揃えていう。 だから今は剣の練習を毎日してる。 冒険者になる1番の目的は記憶を食べる魔物を殺して僕の記憶を取り返す事。 7歳より前の記憶がないから僕の心に大きな穴が空いてるんだと思う。 冒険者に教えてもらったんだ。 記憶を食べる魔物に記憶を食べられた人はその記憶を食べた魔物を倒せば記憶が戻ってくるって。 ただ、すごく難しいらしい。 その魔物は魔物の記憶すら消してしまうらしくて、伝説の魔物になってる。 どんな形でどんな攻撃をしてくるのかも分からない。 どこに生息してるのかも不明だ。 僕は強くなって、必ずその魔物を倒す。
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