笑顔のその先 2

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さすがに冴木さんにパンケーキは出せないものね。 そう思いながら、僕は甘いパンケーキを頬張った。一緒に作ったサラダと交互に食べると美味しいんだよね。甘いのとしょっぱいので。 冴木さんがいないのは寂しいけど、好きな物が食べられて幸せ。 冴木さんも好きな物食べてるといいな。 まだお空の上を飛んでいるであろう、冴木さんを思いながら、僕はパンケーキを完食した。 「ごちそうさまでした」 そんな生活を送っていたらあっという間に時間が過ぎて、いよいよ冴木さんが帰ってくる、といった朝、僕は異変に気がついた。 ズボンのボタンが閉まらない。 え? うそ。 なんで? なんて思っても、心当たりがありすぎる。 冴木さんがいる時はこっそり食べてたデザートを、いないのをいいことにいっぱい食べてしまったからだ。 食後のプリンとお風呂上がりのアイスがやめられなかった・・・。 僕は慌てて洗面所に走り、体重計に乗る。 「・・・5kgも増えてる・・・」 滅多に乗らない体重計なので、これがどれくらいの期間で増えたかは分からないけど、あまり体重が変化しない僕にとっては大問題。 間違いなく人生最高体重だ。 僕はシャツをめくってお腹を見た。 がーん。 下腹部がぽっこり出ている。 ビール腹ならぬスイーツ腹・・・。 まずい。 こんなお腹冴木さんに見せられない。 でも今は、とりあえずなにか履いて仕事に行かなきゃ。 僕はウエストがゴムのパンツを急いで履いて、慌てて出勤した。 冴木さんとは週末しかしないから、今日はとりあえず大丈夫だよね。 このお腹、週末までに戻せるかな?でもあと二日しかないよ。どうしよう。 こんなぽっこりお腹見たら百年の恋も冷めるよね。 そんなことを思いながら仕事を終え、急いで帰宅すると、冴木さんの方が早く帰っていた。 冴木さんの香りがする。 「おかえりなさい」 玄関まで出迎えてくれた冴木さんに僕が抱きつくと、冴木さんもぎゅっと抱きしめてくれる。 「ただいま。君もおかえり」 「ただいま」 そう言って見つめ合うと、唇を合わせた。 おかえりなさいのキス。 だけどなんか深くて・・・あれ?止まらない。 玄関でするには激しいキスに、僕は焦る。もしかしてこのまま・・・。 「冴木さん・・・まだ週末じゃ・・・」 ないですよ、の言葉は唇に吸われ、冴木さんはそのまま僕を抱き抱えると寝室に向かった。 その時の冴木さんの香りがとても官能的で、僕もどきどきしてくる。 あの発情期以降、僕達は週末だけ身体を合わせてきたけど、ここ一ヶ月はただ一緒に眠るだけだった。それは今回の出張に向けて冴木さんの仕事が忙しかったからで、だからといって平日無理にする程お互い性欲が強い方ではなかったからだ。 それに発情期が来たら嫌でもその事しか考えられなくなってしまうから、まともな時はできるだけ二人で穏やかに過ごしたい。 でもその発情期が全然来なくて・・・。 フェロモン異常を起こした僕の発情期はサイクルが狂っていて、前回は一ヶ月早かった。なのに今回は全然来なくて・・・あれ?もうどれだけ来てないんだっけ? なんて思っていたらベッドに下ろされ、そのまままた唇を合わせながら冴木さんの手がシャツの下に潜り込んでくる。 深いキスと濃厚な香りに頭がくらくらする。
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