笑顔のその先 2

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冴木さんの手が胸を触り、その突起をきゅっと摘まれると甘い痺れにも似た快感が身体に走り、下肢が熱くなる。 久しぶりだから? お腹がきゅうっとなる。 でもだんだん僕も身体が熱くなり、冴木さんが欲しくて自ら腰を擦り寄せてしまう。 それを察した冴木さんは散々胸を弄っていた手を徐々に下ろし、下肢へと向かわせる・・・と思ったら、手がぴたりと止まった。 あ、お腹・・・。 太ったのがバレた、と思ったら、冴木さんはびっくりしたように僕から身体を離してシャツをめくった。 そこにはぽっこりお腹が・・・。 「ごめんなさい。冴木さんがいない間に食べすぎちゃって太っちゃった」 僕が慌ててそう謝ると、冴木さんはびっくり顔のまま僕を見て、そしてまたお腹を見た。 「太った・・・?」 そのままじっとお腹を見つめる。 そんなに見られると恥ずかしい・・・。 僕はシャツを下ろそうとしたけど、それを冴木さんに止められる。 とその時、お腹がぽこんと動いた。 あ、今日お昼抜いたから空腹で腸が鳴っちゃった。 「今・・・動いた?」 冴木さんに見られた。 恥ずかしい。 「お腹が空いて腸が動いたんです。僕よくなるんです」 昔から腸の動きが活発なのか、こぽこぽよく動いて鳴るのだ。 「腸が動いた・・・?」 冴木さんは信じられないような顔をしてまだ見てるから、もう恥ずかしくて横を向いた。するとまたぽこん。 ああ、もう恥ずかしいっ。 ぽっこりお腹を見られた上にお腹空いてるのバレちゃった。 なんか食べてこようと身を起こそうとたら、冴木さんの方が早くベッドから降りてどこかに電話を始めた。 「オレだ。まだいるか?すぐみてもらいたいんだが」 すぐみる? なにを? そう思っていると冴木さんは電話を切って、僕の衣服を整えると、上着も着せてくれた。 「あ、あの・・・」 訳が分からないまま僕はそのまま冴木さんに連れられて車に乗り、やってきたのはM総合病院だった。 駐車場に車を止めると、もうすでに診療時間が終わっているため、裏の夜間受付の入口から入る。すると白衣を着た医師・・・橘医師(せんせい)が出てきた。 「早瀬くん、久しぶりだね。どうしたの?何かあった?」 医師(せんせい)はやさしく訊いてくれるけど、僕には分からない。 でもここはバース科だから、もしかして僕を診てもらうために来たのかな? え? このお腹、なにか異常なの? そう思ったら、またぽこんとなった。 腸が動いてるんじゃないの? 何? もしかして虫?! 僕は以前テレビで見た寄生虫を思い出した。 人のお腹に入っていたとは思えないくらい細く長いその虫の映像を思い出して、僕はゾッとした。 僕、もしかして大変なことになってる・・・? 医師に促されながら診察室に入ると僕は椅子に座り、冴木さんは僕の後ろに立った。 「さて、どうしたのかな?」 先生も椅子に座りながらパソコンをいじり、僕のカルテを出したようだ。 「とにかく、診てくれ」 後ろから少し焦った声がする。 その言葉に医師は一瞬冴木さんに視線を向け、そしてまた僕を見た。 「じゃあとりあえずお胸出して」 やさしくそう言いながら聴診器を手で温めてくれてる医師の前で、僕は少し躊躇する。だってあのお腹見せるの恥ずかしい。それにもし本当に虫が入っていたら・・・。 なかなかシャツをあげない僕に別段怒ることも無く、医師はそのままの笑顔でいてくれる。
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