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「わたしは困っている人を見たら助けることを生業としている」
聞かれてもいないのに答えると、変な顔をしていた。
そのまま彼はわたしの家…というかクルマにいついた。
「明日は山にしませんか?海はそろそろベタついてくるし。」
オレンジに照らされた白い頰をつるりと撫でる。
ベタベタとは無縁そうなヒルマの陶器肌。
「まあいいよ。山沿いの方が風呂も安いしな。」
わたしは保健衛生に対する意欲が欠落しているため、あまり気にしたことがなかったが、ヒルマと起居を共にするようになり、山には安価な温泉が多いと言う知見を得た。
とはいえヒルマは温泉に入ることはなるべく避け、基本的にはコインシャワーで済ませている。
潔癖症気味なので公衆の風呂はできる限り短時間で済ませるのが信条なのだ。
バンで暮らし始めたのは半年ほど前だ。
「まあ、簡単に言えば失恋したのだが」
運転しながら言うと、
「口笛を吹くように言うんですね。」
とつまらなそうなヒルマ。
まあ面白そうなヒルマなど見たことも会ったこともない。
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