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「世界が終わる」予言者がそう言ったのは20年前のことだ。20年前、突如現れた予言者は
「20年後の今日、世界が終わる。その夜は明るいだろう。」と言って消えた。
別に有名な予言者でもなかったし、20年も先のことだからと言って誰も気に留めなかった。そもそも、世界が終わる日に明るいとはどういうことだ。そんな感じで色々とおかしかったのも気に留めない要因のひとつだろう。そして今日、20年が経った。別に何も変わらない1日だった。テレビでは少し話題になったが、みんないつも通りだった。
夜になった。空は黒く染まっている。
それは突然のことだった。
世界が白に包まれる。
世界を終わらせたのは予言者本人だった。
自分で予言し、自分で実行した。
この20年の間に予言者が仕掛けた爆弾は鮮やかな赤となり、大きな音を響かせる。
白に包まれた静かな夜は赤く染まる。
「その夜は明るかった」
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