洞窟

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洞窟

しばらくすると、目の前に洞窟が現れた。 外には雑草が生い茂っていて、中は真っ暗。 お兄ちゃんは、長く延びた雑草など気にせずに突き進む。 僕は思わず、 「お兄ちゃん、ここを進むの?」 「そうだよ。この先に洞窟があるだろう?実はあの洞窟は秘密の扉みたいなもんなんだ。あの先には天国の様な素敵な場所に繋がっているんだよ。本当は、大ちゃんは連れて行っては駄目なんだけど、今日は特別だよ。」 「そうなの?」 「うん。大ちゃん、行こう。」 「うん。」 僕はお兄ちゃんの言葉に楽しみでワクワクした。 天国の様な素敵な場所って、どんな所かな。 洞窟の入り口まで来ると、お兄ちゃんは繋がっている手をよりしっかりと強く握った。 そして、ゴクッと唾を飲み込み、真っ暗な洞窟へと進んで行く。 しばらくすると、少しの光が見えてきた。 その光の方に歩き続けると開けた所に出た。 そこは鍾乳洞の様に幻想的で、沢山の色のグラデーションが見える。まるでオーロラのような光。そして、とても明るく天国の様な素敵な場所。 至るところに水が流れていて、その中には幾つものガラスの球体の様なものがあった。 そのガラスの球体の中には、綺麗な色がそれぞれに入っている。 僕は気になり、お兄ちゃんに尋ねた。 「お兄ちゃん、これは何?」 「あっ、触っちゃ駄目だよ。お兄ちゃんと大ちゃんで、これだって思った物だけを1つだけ選ぶんだ。それは大ちゃんのママに渡すプレゼントだよ。」 幼い僕には何故ママにプレゼントを渡すのか分からなかったけど、ママが喜んでいる顔が頭に浮かび早く渡したいという気持ちになった。 「うん。ママにプレゼント渡したい。」 「じゃあ、ゆっくり見て行こう。お兄ちゃんと大ちゃんと、せーので2人同じものを指さしたら、それにしょう。」 「うん。」
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