お兄ちゃんの探し物

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お兄ちゃんの探し物

沢山の小さな池の様な所を見てきたが、2人の足はある池の前で止まった。 「大ちゃん、見つけた?」 「うん。お兄ちゃんの探し物も見つかった?」 「うん。じゃあ大ちゃん、せーので指さそう。」 「うん。」 「せーの。」 「うわぁ、お兄ちゃん一緒のだね。綺麗、持ってもいい?」 「うん。いいよ。」 僕はその清んだ透明の池の中に手を入れた。 そして、その球体を掴むと、ゆっくり慎重に 持ち上げた。 僕はその、とても綺麗な球体に時が止まった様に見つめていた。 すると、お兄ちゃんが、 「大ちゃん、綺麗だね。この球体の中の色はピンクとオレンジが混ざっているけど、どんな意味があるか分かる?」 「どんな意味なの?」 「ピンクは愛の色、オレンジは元気の色だよ。大ちゃんが生まれる前に、お兄ちゃんは大ちゃんのお兄ちゃんとして生まれて来る筈だったんだ。だけど、残念ながら生まれて来れなかったんだ。それからママは凄く悲しんでね、今もお兄ちゃんの命日になると泣いているんだよ。この球体はね、お兄ちゃんと大ちゃんからの手紙の様な物。いつまででも愛してる。元気で居てね。と伝えているんだよ。」 「お兄ちゃんなの、、?」 「そうだよ。お兄ちゃんは生まれて来る前に死んでしまったから名前が無いんだ。今でも悲しんでいるママに、この球体を届けてくれる?」 「うん。いいよ。僕ちゃんとママに渡すから。」 「大ちゃん、ありがとう。」 お兄ちゃんは微笑みながら、僕の頭を優しく撫でた。 「さぁ、行こうか。」 「うん。」 僕達は、ゆっくりと元来た場所へと引き返した。 すると、お兄ちゃんは、ある池の前で立ち止まり、池の中に手を入れて、1つ球体を取り何も言わずにポケットへ入れて歩きだした。 僕は短い時間の出来事で何も思わなかった。 そして、ある程度、歩くと入って来た洞窟の場所まで来た。
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