しつこい彼女と忘れっぽい俺

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「ねえ、覚えてる?」 「あーはいはい覚えてる、覚えてる」  今日も聞こえるカナの声に雑誌から目を離さず返す。顔を見なくても怒っていると分かるその声を軽く流し、俺はあえて音を立てて雑誌のページをめくった。 ──ペラリ  思ったよりも大きく響いた紙の音にやや遅れて、息を吸い込む音が聞こえてくる。 俺が反射的に耳をふさぐと同時に 「嘘つきーーー!!!」  カナの叫び声が響いた。結局その後は言い争いになって、何を聞かれていたか覚えていない。
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