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第二話 内田病院スタッフ紹介
学先生はここを卒業した、今は王都の王宮のそばで、王家の主治医として、街の人たちを見る大事な医師として派遣された。
元々主治医はいたが、彼らは俺たちほどの知恵はなくて、まあ、薬草なんかの知識はある程度あったから、若い人をそのまま使っているらしい、言葉もまだむつかしいところがあるからね。何とかやっているという返事はある。一人?ううん、先生結婚したんだ、こっちの人だよ、綺麗な人でいい人だったよ。俺たちも世話になったしね。
木村先生は学先生の後に来た人、年上で看護師さんだったんだ。たまたま遊びに来た親友の家にいて飛ばされた、親友はお亡くなりになって、彼もつらい経験をして、内田先生に知恵を生かしてみないかと言われ、彼は今、内科医としていなくちゃいけない存在になった。
石間先生、彼は鍼灸医、向こうにいた時は目はほとんど見えなかったんだけど、こっちに来てから少し見え始めているんだって、なんか不思議な話だけど、彼の腕は確かだ。
それは患者さんの数に謙虚に表れているもんなー、。それにね、針だけで、麻酔みたいに人を眠らせたりすることができるんだよ、すごくて感心するよ。俺ももう少ししたら習うんだ。
千葉先生、婦人科、この先生のおかげで、劇的に、病院は変わっていくことになったらしい。
山本先生は大学を出てこれからっていうときに、水上温泉に遊びに来ていて飛ばされた、彼は皮膚科が専門だけど、まだ学生何だって、俺らの先輩ってとこらしい。でも体格がいいから内田先生にいいように使われている。
それともう一人、いるんだけどさー、この人も山本先生と同じなんだけれど、本当なら病院に勤めていてもいいらしいほど腕はいいんだけどなー、外科の先生なんだけど、まあ後でいいか。
先生方は、専門職じゃない人を含め十人、もちろんそこには学先生も入っている。サクのように勉強中の子が俺を入れて六人もいる。看護師たちは全部で九人、女性が四人、男性二人に見習いが三人こっちの人で男性なんだ。他にも雪乃さんやまゆちゃん、県民の女性たちも手伝うけれどちゃんとしたスタッフは以上かな。
見習いのうち、俺とおんなじ獣医を目指してるリア、彼は、北方から来ている俺の一個下。
内科医を目指しているのは俺の三つ上のラオ、俺たちと同じでシンワから来たんだ。彼は記憶が掛けているみたいで、名前とか生年月日、前に住んでいたところとかはわからないんだ、ただ勉強はものすごくできるのか、大学の問題なんかをすらすらと解くもんだから、長老は、大学生くらいの年齢だろうということで、大体の年を与えて、名前は、彼がラオウといっていたから、短くして、ラオになったんだ。ラオの目標は学先生、あんなふうにかっこよくなりたいんだってさ。内田先生は残念そうに俺じゃダメなのかって聞いたら、神様は目標にできないんだってさ。
俺、神様なんだって、先生は嬉しそうだったけどさ。
それと大貫さん、彼女も学先生にあこがれて手伝いをさせてほしいと看護の道に入ったんだ。こっちは、ラブのほうのあこがれだったけどね、みんな女子はそうなんだよなー、どこが違うんだろう?
そりゃルックスと頭だろうと言われたけど、俺もイケてると思うんだけどなーといったらみんなに笑われた。駄目なのかな?
薬局の方は、相変わらずダンさんの弟のゾロさんが、文句を言いながらいっぱいある薬草と戦ってる。
今は青森から来た小笠原さんという女性がゾロさんの後を継ごうとしている、それと王都の術師のもとから逃げて来たというかちゃんと教わりたいと来ている男性二人が彼のサポートをしている。今ゾロさんは独立する準備を始めているんだ。
姉ちゃんは元気さんとは違う学校だったんだけど、一番面倒見がよくて、俺たちはすぐに姉ちゃんと呼んでいた。彼女がいないと、向こうから持ってきた薬は日本語や英語だからね、ゾロさんだとちょっと大変だよね。
「春―何か言ったか?」
「いってないよ、カムさんビラトー(虫下し)の薬草まだある?」
「もうそろそろなくなるな」
「やっぱりな、ゾロ先生―」
「こんな時だけ先生かよ」
「へへへ、ちゃんと、まじめな話だよ、これからもっとビラトーが必要になるから今の三倍仕入れてほしいんだ」
「三倍?そんなにか?」
「うん、お願いします、内田先生には許可もらったよ。田中先生にもっとないか聞いてくるから」
「おう、義父さん身内に容赦ないからな」
「おがちゃん、何が起きてるんですかネ?」
「スフのおなかに寄生虫がいるみたいですよ」
「寄生虫、それでビラトーか」
「すまない、これを頼めるか?」
「はい、ゾロ先生さっそくよ、ビラトー、三人分、一日分でいいそうです」
「まじかよ、今用意します、テン、水薬出来てるか?」
「はい!」
なんて忙しくなり始めた。俺は薬局を後にした。
ゾロさんも結婚したんだ、お相手は聞いて驚け、まゆちゃんだ、今お腹には赤ちゃんがいる、先生たちのところは初孫の準備で大変だよ。
「あ、いた、春、患者」
「オウ、今行く!」
汚れた服を着た子供たちが輪になってひそひそ話をしています。年齢はまちまちのようで、体格も大きい子から小さい子までいます。
「どうだった?」
「ダメだ」
「王都からは」
「こっちもだ」
「噂で聞いたんだが、埼玉という島があってそこは俺たちの仲間だけがいるそうだ、そこの長老に頼んでみないか?」と大きな子が言いました。
「でもうまくいくかな?」
「ココの住人じゃないんだ、誰かに頼まねえと無理だろう」
誰に頼むったって。
「聞いてきたよ!」と小さな子が走ってきました。
どうだったとみんなが集まる。
「竜都の中川村に埼玉に行った女子がいるんだって」
「それで?」
「そのそばの村がスフに襲われたらしいよ」
「じゃあダメじゃん」
「そうか、王都だ、王宮の使者が調べにくるかもしれない」
「噓、じゃあ今から行けば」
「行くってどうやって」
「スフを盗む」
「無理だよ」
「あそこで俺たちが餌をやって世話をしてきたんだ、何とかなる」
「なんとかって飛ばし方知ってるのかよ」
「それは私が行こう」
入り口に背の高い男性が立った、風で長い髪が流れる。
「親分」
「よくそこまで調べて来たな、みんな飯にしよう」
年老いた髪の長い男は子供たちに食事を与えたのだった。
粗末な食事でも、文句を言わず食べる子供たちは、この島に来てから怖い思いばかりしてきた、それでもこうして生きていることに何かしら感じているらしい。
みんなは和歌山の小学校から来たのがわかった、学年は様々で、いまだに恐怖から、夜になると団子になって眠っている。
それにみんなは私の話を目を輝かせながら聞いてくれる。(早く何とかしなければ)そう男は思いながら笑いがこぼれている子供たちの顔を霞んだ目で見ているのでした。
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