奥州市水沢区

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黒石寺(こくせきじ)の仏像(1) 伝/安倍氏・基衡・仏像 黒石町字山内 2016年7月10日訪問 水沢駅から正法寺行バスで30分、「黒石寺」下車  黒石寺は寺伝によれば、天平元年(729)に行基によって開山され、嘉祥二年(849)に慈覚大師円仁によって再興された。本尊である薬師如来像の胎内からは貞観四年(862)の墨書銘が発見されており、日本最古の年号を持つ木彫仏である。正確な創建年代は不明ながら東北有数の古刹であることは疑いない。  本堂である現在の薬師堂は明治の名匠高橋勘次郎の作で、手前にある鉄製狛犬は水沢鋳物の産地である羽田地区で作られた。旧暦の正月七日には褌の男たちが蘇民袋を奪いあう蘇民祭で有名である。  本尊の薬師如来とともに仏像庫に収められている僧形坐像は、膝裏に永承二年(1047)と前九年合戦四年前の安倍氏全盛期を示す銘があり、安倍氏の関与が想像される仏像である。安倍氏時代の銘がある唯一の仏像で、この時代の仏像かどうかを推定する基準仏となっている。桂材一木造、像高67cm、平安後期の作。寺伝では慈覚大師像とされる。  薬師堂内の木造日光・月光菩薩立像は、奥州藤原氏二代目・藤原基衡(ふじわらのもとひら)の寄進と伝わる。  二体はどちらも一木割矧造(一木を一度割って再び矧ぎ合わせた造り)、木造漆塗、平安末の作。像高は日光菩薩が100cm、月光菩薩が102cm。現在は日光菩薩が左脇侍像(向かって右)、月光菩薩が右脇侍像(向かって左)として安置されている。 典拠:『図説 みちのく古仏紀行』(大矢邦宣∥著,河出書房新社∥1999.2) 0e72e26d-6025-403a-a64f-d542229d5424  ※日光菩薩立像と学校菩薩立像(撮影・公開許可済み) 2dd8a23f-6224-4036-b1e1-6202f140ade8※全体図
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