前書き(この本の見方について)

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◆この本の見方について ※必要ない方は読み飛ばしてOKです  本書は岩手県における奥州藤原氏関連の史跡と伝説を市町村ごとにまとめたものです。(平泉・一関市・奥州市衣川区は別冊で発行予定) 12世紀の奥州藤原氏の成立に重要な11世紀の安倍氏と清原氏のものも含みます、一方、同じく重要とはいえ、源義家や義経がメインの伝説などは本の趣旨に外れる&私の手に完全に余るため除外してあります。 ◆伝説の扱いについて  伝説にどう向き合うかについては随分迷いましたが、今回あえて実験的な試みとして「~と伝えられる」という書き方を基本的には無くし、実際の出来事を語るような文体としました。私の意図は後書きにもう少し詳しく書いておくので興味ある人はそちらをご覧ください。とりあえず、史実と混同されませぬよう項目の大分類が「史」なのか「伝」なのかご確認ください。いかにも本当っぽい話には原則を破って「~と伝えられている」と記しておきます。 ◆データの見方 例 遺跡名,伝説の名称など 大分類(史実,伝説など)/小分類(人物・事柄など) 所在地 現地訪問の日時(実際に訪問できた場所のみ) 最寄駅から自家用車以外での所用時間 本文 ◆大分類について 取り上げている項目は「史実」か「伝説」かの大きく二種類に分けてます 史(史実,史跡):近代的歴史学の手法(文献史学や考古学)によってある程度確定的なことが言える事柄,遺跡。(例:白鳥舘遺跡,比爪館跡など) 伝(伝説):口承で語り継がれたり近世の地誌に載っていたりするが、現在の歴史学で検証しようがないもの。(例:安倍館,吉次屋敷など) ◆小分類について ・基本はその項目に関連する人物(安倍貞任,藤原秀衡など)、事柄(神社,寺院,奥州合戦など)を二つほど選んで表記します。  以下、補足説明 ・「文化財」:現存する平安後期の文化財(主に仏像)のうち、  ①鑑定の結果、平安末期の作とされ、安倍氏または平泉の関与が推定されるもの。大分類は「史実」に分類。 ②寺伝などで安倍氏または奥州藤原氏の寄進と伝わるもの。実際の制作年代は鎌倉時代以降なども含む。大分類は「伝説」に分類。 (例:黒石寺の仏像,紫波の七仏薬師像など) ・「遺跡」:考古学的な調査が行われた11~12世紀の遺跡のうち、安倍氏か奥州藤原氏の関連が推定され、比較的重要と思われる遺跡。経塚もここに含みます。(例:鳥海柵、田鎖車前堂遺跡など)。 ・「疑定地」:史料によってその存在は確認できるが場所の特定できないもののうち、伝承や周囲の地理的条件からおそらくここだろうと推定された場所。大分類は「史実」。(例:豊田館,益澤院など) ・「安倍氏」:独立分類のある貞任と宗任以外の安倍一族をさします。(例:安倍則任 ・「藤原氏(他)」:藤原一族の男性うち、独立分類の無い者をさします(例:藤原基成、藤原頼衡など)。 ・「藤原氏(女性)」「安倍氏(女性)」:藤原一族に嫁いだ女性や一族内の女性をさします。 ・「交通」は道や水運など流通に関わる遺跡や伝説の分類です。 ◆典拠資料について ・たいてい一つの項目を書くには複数の資料を参照しているのですが、そのうち最も重要または入手しやすい資料一点だけをあげています。なので提示された典拠資料を読んだけど載っていない内容があるということもあるかと思います。しかし内容の根拠はすべて典拠があります。 ・『陸奥話記』現代文は『新編日本古典文学全集 41』(小学館,2002.2)を、『吾妻鏡』現代文は『現代語訳吾妻鏡 4』(吉川弘文館,2008.9)を引用しました。 ◆最寄駅からのルートについて  筆者は自家用車が無いため、基本的に公共交通+徒歩で探訪を行いました。徒歩での所用時間は成人女性の足かかる時間となります。  また、私自身一人で徒歩で行動しておいてなんですが、東北は5月~11月にかけて熊の出没が多発しています。紹介した場所もその多くが熊の出没が予想される場所です(実際に遠野や紫波町の赤沢地区ではニアミスに近いことがありました)。基本的には複数または車での訪問をお勧めします。一人で徒歩で行く場合も「熊鈴」や音楽を流せるものを持ち、決して無理はしないよう安全第一で行きましょう。
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