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◆照井館跡
伝/照井氏 前沢区照井館 2016年9月12日探訪
平泉駅から自転車で約40分
奥州藤原氏三代目・藤原秀衡の家臣で照井堰を築いた照井太郎高春の館跡。高春の館と伝わる地は一関などにも何ヶ所かある。
国道4号線の東側丘陵上にあり、徳沢川に面している。標高は約71m。藩政時代に書かれた記録には「南北六十間(約109m)、東西三十四間(約62m)」とあるが、往時の遺構は何もないという。昭和五年に照井氏の末裔が跡地の南西部に供養碑を建てている。
平泉駅前でレンタル自転車に乗り、国道4号線を北上する。田園地帯を走り、「バイパス北口」の十字路で右折して県道237号線に入ってしばし行くと徳沢橋という小さな川にかかる小さな橋がある。ここを渡ると奥州市に入る。渡ってすぐに左手に丘陵があり、そこに登っていく小さな坂道がある。
すでにだいぶ疲れていたが坂道を登り丘陵の内部に入ってみたものの、何がどこにあるのか検討もつかない。とりあえず左右に木々が繁る道沿いに進んだものの、ラブホテルらしきもの以外に建造物はなく、2m以上あるという供養碑も発見できなかった(後にその供養碑はすでに撤去されたらしいと知る)
しかし丘陵上の眼下に徳沢川を望む開けた地点からは、左手に北上川と束稲山、右手に中尊寺のある関山が遠望できる。今の景色も見事だが、往時はつまりここから平泉の中心寺院と北上川を行く数多の船、そして歌人の西行によって吉野の桜とも比べられた束稲山の桜が一度に眺められたことだろう。家臣の館としては最高の立地である
またこの三点を遠望できるということは、どれも平泉にとって重要地点であっただろう箇所の異変をすぐに察知できる場所に館があったということでおあり、照井氏の重要な立場をもうかがわせる。
典拠:『前沢町史 中巻』(前沢町史編集委員会∥編,前沢町教育員会,1976.7)照井館跡のある丘陵から中尊寺のある関山方面を眺める
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