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たとえそれが、村で厳しく禁じられている、「地の果て」を見に行くことだとしても。
アンナがミライと知り合ったのは三年前、ミライが村の学校に通い始めたときからだ。
12歳にしては明らかに周りの子どもたちより一回り大きく大人びているうえに、村では珍しい黒髪に黒い瞳、異国風の名前と顔立ち、15歳になった今でこそ、周りの体格が追い付いて、ミライは小柄で華奢な感じに見えるが、12歳まで学校に通ってなかった謎の生い立ちも含めて、完全に浮いた存在だった。
そんなミライと、アンナはなぜか気が合った。
というより、一方的にミライにロックオンされた。
教室の席が隣で学級委員で、帰る方向も近かったから、初日から纏わりつかれた。
それでも不思議と嫌な感じはしなかった。
「ねえ、世界の果てってどうなってるんだろうね?」
その頃から、ミライは口癖のようにそう言っていた。
ミライたちの棲む世界は、いくつかの村が集まって形成されている。
岩のトンネルで繋がった村々の中心に、学校やら役所やら大型の商業施設やらの集まったエリアがある。
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