兵器という生き方

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 バルバトスたちは地下城の支配を固めるにあたって、まずは治安部隊を圧倒的な力で屈服させた。  地下城の人民解放軍がいかに強力なものであると言っても、侵略後の世界の軍隊は対エイリアン戦に特化しており、対人戦闘のプロは限られている。  だから、彼らを完全に指揮下に収めれば反抗は難しくなる。  それでも最小限の人員で巨大な地下城を占領するには、市民や末端の兵士たちの反感を買わないことが重要になる。  基本的に彼らの日常に不利益になるようなことや、圧政と感じさせるような事はしない。  蘭玲たちが若干暴走気味になるのは、おもちゃを与えて宥めた。  数日で体制を固めると、バルバトスは遺跡を回収し、去って行った。  「やはり、遺跡を持ち去られたのであれば…事態は一刻を争うわ」  しかし、ここを堕天使軍に支配されたままにしてバルバトスを追うわけにはいかない。  「あなたたちの部隊が壊滅したことで、残るのは堕天使たちね…一人は見当がついているけど」  部隊の壊滅という言葉が、改めて意識させられて蘭玲の胸を突く。  異能の超エリート部隊でありながら、常にどこか人間以下の者と見られ続けてきた。
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