復讐者という生き方

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 「ここは倒壊した瓦礫の下になってて使われていないハッチだ…外周のカメラから死角になってるが、逆に消息を絶ったことでここを割り出されるのも時間の問題だ」  「なら、急げよ」  冷たい目をしてミライが顎で指示する。  「くそっ…!」  蘭玲は拘束されたまま足と不自由な上半身を使って瓦礫をどける。  誰も手伝わないのは明らかに非効率だったが、ミライは徹底して蘭玲に隙を見せないつもりだった。  ミライもまた、この見た目は可愛らしい小悪魔的な少女を、油断ならない宿敵であり、どす黒く深い闇を抱えている存在と感じ取っていたのかもしれない。  擦り傷で血塗れになりながら蘭玲がハッチを露出させると、素早くミライが蓋を開けて蘭玲とタルカンを先に降ろす。  梯子を降りきったタルカンがヴァンパイアにだけ聞こえる声で合図を送る。  次にナナを突入させると、ミライが後方を警戒しながら最後に降りた。  そこは、オンカロの要塞とも、モスクワの地下都市とも違う、独特な世界が広がっていた。
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