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石造りの地下通路には近代的な、無機質な構造物が広がる空間ではなく、地上の廃墟が破壊される前はこんなだったのだろうかと思わせる、薄汚れた生活感のある街並みがあった。
ミライはゼロ号機の資料で見た「チュウカガイ」というものによく似ていると思った。
「ここは、あなたたちの部隊の宿舎の近くね…フルカスが潜んでいる場所からも近い」
ナナがハチの記憶を辿って問いかける。
「そうさ…元々何かあった場合の為に、わたしたちが隠しておいたハッチだもの」
「地下城内に入れれば、こいつは用済みかい?ナナ」
ミライの目に殺意が光る。
「そうね、ここからの地形はハチが把握してる…でもね、ミライ」
「なあに?」
「この子の始末をあなただけで決めるわけにはいかないわ、地下城政府の信頼を得るためにも、人民解放軍に引き渡すべきよ」
「そう…」
こいつを生かしておくのは危険だと本能が告げていたが、ナナに弱気なところは見せたくなかった。
どんな危険があろうと、自分が返り討ちにすればいい!
「足手まといになるから、どこかに閉じ込めよう」
ナナはハチを案内に走らせ、ミライたちについてくるように合図する。
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