復讐者という生き方

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 向かったのは蘭玲たち魔人部隊の宿舎だった。  方向から行き先を察したのか、蘭玲は一瞬躊躇いを見せたが観念したようについてゆく。  「開けろ」  入り口のロックを解除させて、蘭玲とタルカンを先に突入させる。  「なんだこれは!」  珍しく慌てたようなタルカンの声に、天使とヴァンパイア王が鋭い殺気を放ちながら滑り込むように素早く侵入する。  構えた銃口の先にあったものに、ナナとミライも一瞬混乱した。  「おまえの趣味か?」  嘲笑うようなミライの視線に、蘭玲が顔を赤く染めて目を背ける。  そこには、裸で屈辱的な姿に拘束された女士官が鎖でつながれていた。  「あなたも、酷いことするのね蘭玲」  周囲に散乱している拷問具で、ここで何日も嬲り者にされていたのは明らかだった。  元々抱えていた周囲への不満から、蘭玲たちが暴走して市民や兵士たちの支持を失うことを防ぐための、生贄として与えられていたのだ。  泣きながらすがるような目で女がナナたちを見上げる。  「今は連れていけないけど、わたしたちが堕天使を倒せばあなたも解放されるわ、もう少し辛抱して…タルカン」  ナナに指示されたタルカンがミライを見る。  ミライは無言で頷いた。
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