復讐者という生き方

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 タルカンは蘭玲を床に転がし、髪を掴んで思い切り体をのけ反らせると、首に巻いた鋼線を延ばして足首を縛った。  「あぐううっ…!」  「あなたもここで大人しくしていて…ほかに、軍の司令官が拘束されているのは何処?」  蘭玲が喉を締め上げられながら掠れる声で答える。  話を聞き終わったナナは、あらためてミライとタルカンを見回し、連合軍の頂点に立つ天使の一人として命令を伝える。  「これより、北京地下城を奪還します…作戦成功の条件は堕天使フルカスおよび強化兵全員の殺害、その後人民解放軍司令官を救出し連合軍の指揮命令系統を復活させます。一般の兵士及び市民は極力傷つけないこと、反抗する者は拘束、但し、作戦遂行に重大な支障をきたす場合は…」  そこで、ミライがナナの言葉を遮った。  「ナナの命令は一般兵士と市民を傷つけるな、だ…タルカン、守れなければ罰を与える」  「承知しました、女王」  タルカンの目が赤く光る。  わかっている、ナナの名誉を守るために、甘んじて罰を受けろということだ。  理不尽だが、ヴァンパイアとして王はまだまだ優しい。  一行は蘭玲を置いて宿舎の外に出た。
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