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「あと5人!」
そのまま一気に斬り殺し、目を赤く光らせる。
「いや…6人か」
強化兵たちの向こうに、痩せた青白い顔の男が現れる。
「貴様一人で来たのか…ヴァンパイア王」
「おまえが、堕天使フルカスだな」
初めて目にする、ロックとナナ以外の天使という生命体だった。
さえない外見をしているが、天使である以上何の勝算も無くミライの前に姿を見せるほど愚かなはずはない。
「バルバトスの野郎はおまえら吸血鬼ごときを高く買ってるようだが、俺は認めない、我ら神の一族以外は、全て劣等種だ」
ミライの口元に不敵な笑みが浮かぶ。
「堕天使と名乗りながら神の一族であると言う…随分と歪んだプライドを持っているのね…情けない人」
美しい顔で侮蔑を込めて投げかけられた言葉に、激しく自尊心を傷つけられたのかフルカスの怒りがあっさり沸騰する。
「吸血鬼ィ!許さんぞ!」
フルカスは、天使に搭載する兵器の実験用に作られた個体だった。
天使にするために作られた個体たちとは、根本的に違う。
フルカスの様なデータ収集用の試作機が大量に作られ、それをもとにほんの一握りの個体が天使にするために生み出された。
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