天使という生き方

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 応対するのは旧韓国軍の司令官で、天使の来訪に合わせてかつての南北境界線付近に設けられた朝鮮統合司令部から来たらしい。  ここでも天使のことを知っているのはごく一部の幹部だけだったので、現地任せには出来なかったのだ。  「協力要請については北京から連絡があったと思いますが、外洋に出る船の運航は止まっているそうですね」  「ええ、基本的にあの港から出る船は半島各地の港を連絡するもので、外洋には・・・日本がほぼ壊滅してからは出ていません」  司令官は、ミライを見ながら言いにくそうに話した。  不安そうな顔になるミライに、ナナは優しく微笑んだ。  「大丈夫よ、日本政府は壊滅状態ではあるけど、生き延びた人々のコミュニティが点在していることは連合軍総司令部との無線通信で確認されているから」  侵略開始から早い段階で殆どの都市が壊滅してしまった日本を、高度に汚染された危険地域とみなし、生存者の受け入れについても基本的に日本本土には上陸せず、洋上や両国の中間にある対馬で対応していたという。  最近では、日本の沿岸で飛行するエイリアンが目撃されたという情報もあるらしい。
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