天使という生き方

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 「今回は、洋上や対馬ではなく、わたしたちの装甲車も含めて本土に上陸させてもらいたいのです」  「いや、日本の港が機能しているとは思えない、上陸は非常に困難です」  渋る司令官に対して、ナナは引かなかった。  「あなた方がまだ強襲揚陸艦を維持していることは衛星の画像で把握しています。それに、旧韓国軍には日本海側から日本本土に侵攻する作戦の為に収集された、沿岸や海底の地形のデータが残されているはずです」  「それは…」  「侵略前の世界での国同士の関係にとやかく言うつもりはありません、連合軍総司令部の意思として、艦船と人員の提供を求めます。可能な限り日本沿岸に接近し、装甲車を運搬出来る上陸用舟艇で私たちを送り出していただければ結構です」  旧韓国軍の強襲揚陸艦は稼働できる状態で沖合に停泊していたが、沿岸の短距離の移動しか経験が無かった為に、出港の準備が整うまで一週間を要した。  「未経験の航海の為、短期間で対応いただいたことに感謝します」  出港した強襲揚陸艦の甲板で、兵士たちを前にナナが礼を述べた。  この作戦に参加する将兵には、ある程度天使に関する情報は与えられている。
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