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「なあ、帰ってくるときも足が必要になったら言ってくれよ!司令部が何と言おうとこの船で迎えに来てやるよ!」
「ありがとう!」
こうやって兵士たちを魅了できるミライの方が、自分より遥かに人間らしいとナナは思う。
天使のカリスマ性で彼らを虜にして命懸けで戦わせるようなことはしたくない。
人間の兵士たちとしばらく打ち解けた時間を過ごしたミライ自身も、なにかホッとしたような表情になっている。
北京に来てから堕天使や人工ヴァンパイアなどの人外の強敵を相手にするうちに、ミライはどんどん自分自身が能力だけでなく精神的にも人間離れした存在になっていくのを感じていた。
ナナを護るためには強い自分でなければならない、自分が非情な存在を買って出なければならないとわかってはいるが、人間性を捨てきることには強い抵抗がある。
ヴァンパイア王としての能力を解放していくとき、ミライは自分が殺戮の衝動と凌辱の欲望に駆られて動く存在になっていくのを感じる。
人間としての倫理性をかなぐり捨ててこそ、最大の強さを発揮できることは本能的にわかっている。
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