天使という生き方

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 「日本という国は世界唯一の、核戦争で国土を破壊された経験のある国だということはミライも学んだよね」  「うん、ゼロ号機の歴史のデータベースで見たよ」  「日本人は、そのトラウマが深すぎて…核戦争から身を護るシェルターの建設さえも、核戦争に繋がる物として世論の理解を得られなかったの」  「そっ、そんな馬鹿な!核攻撃を受けた経験があるからこそ、守りに力を使おうとするのが当たり前じゃないの?」  「わたしもそう思うわ、でも、日本ではそれが許されなかった…複雑な国民感情によるものとも、敵性国家による情報操作とも言われているけど、今となっては真相はわからない…結果的に海に囲まれた国土に大量発生したエイリアンに対応しきれず、早い段階で日本列島は放棄された…」  「放棄?」  「そう、列島を守り切れなかったからといって、世界有数の規模と最新装備を持った日本海軍とアメリカ第7艦隊という、太平洋地域最大の軍事力が失われたわけではない…むしろその後も続くであろう人類とエイリアンの戦いに備えて、戦略的な撤退をしたのよ」  「そう…それで、今向かっている富士山っていうのは?」
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