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それでもナナは、将としてここは兵たちを信じ抜くことで揺るぎない信頼関係を築き、日本軍を完全に掌握するつもりなのだ。
「お兄様、次の直線部分で駆動力にブーストをかけてください、10秒間なら使っても五合目までバッテリーはもちます」
ロックは、指揮官としてのナナを完全に信じ切っているように軽く微笑む。
この程度の状況で、大天使が何かを判断する必要など無いと思っているかのようだ。
ナナが北京地下城で収集した遺跡のデータのかけらは既にロックに取り込まれており、また少し精神は完成に近づいている。
タイヤを軋ませながらヘアピン状のカーブを曲がったゼロ号機はバッテリーとモーターの限界まで加速した。
森からショートカットして飛び出してくるエイリアンを振り切り、立ちはだかる者は轢き潰す。
エイリアンたちは更に先回りすべく道路を渡り森へ飛び込む。
あまりにも執拗なその追跡は、天使の存在を感じ取っているからだろうか。
「全員、衝撃に備えてっ!」
フル加速でシートに押し付けられながらナナが叫ぶ。
完全に陸上自衛隊の管制システムと一体化したナナには、次の攻撃がわかっている。
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