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だが、その疑問を口にすれば、触れてはいけない核心に近付いてしまいそうな気がする。
そうであれば、ナナも決して教えてはくれないだろう。
そんなことでナナにプレッシャーをかけたり、ふたりの関係がギクシャクしてしまうのは嫌だった。
「ごめんなさいミライ、あなたを信用していないわけではなかったけど、実際に到着するまでお兄さまとわたし以外知ってはならない極秘事項だったの」
ナナの目が、それ以上は聞くなと言っている。
これほどまでに、天使と同じく連合軍の将軍であるヴァンパイア王にも言えぬことということは、侵略前のナナたちの本来の存在理由に関係してくることなのだろう。
ナナ自身も、ロックからその都度断片的な情報を与えられていたのかもしれない。
「天使さまの艦隊には、海上自衛隊の拠点となっている海ほたるからご案内します」
「海上都市海ほたる、資料で見たことはあります・・・軍事拠点として、機能していたのですね」
それは元々東京湾を横断する海底トンネルの中間地点に設けられたサービスエリアであり、海上に浮かんだ小さな島のような施設だった。
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