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男たちの欲望にギラつく目でもっともらしい理屈を言われても、嫌悪感しか無い。
どうせ女に飢えているなら、同行してきた若者たちのようにストレートな方が、まだ好感が持てる。
それも鬱陶しいことに変わりはないが。
こんな状況に置かれているから、一族を抜けてヴァンパイアのもとへ行ってしまった女の娘に、腹立たしさを感じてしまうのかもしれない。
村長の執務室兼道場となっている建物に着き、扉を開けようとすると、ミライが口を開いた。
「おまえさっき、わたしの母を裏切り者って言ってたよね」
一同が振り向き、緊張が走る。
「それがどういうことなのか、内容によってはお前たちと話すことは何もない、だから入る前にはっきりさせておきたい」
説明しようとする師範を制して佳乃が前に出る。
「ごめんなさい、あなたのお母さまを侮辱する気はないわ、私の言葉が間違ってた」
それから、遠くを見るようにして続ける。
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