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そう言って五合目基地の幹部たちを見回す。
ナナは、それが彼らが知っていい情報では無いと言っている。
様々な憶測を敢えて取り締まるような真似はしないが、絶対に真実に辿り着く方向性は示さない。
そして、美しい顔をそっと寄せてミライの耳元で囁く。
「ミライにだけは、あとで教えるから」
最愛の天使にそう言われれば、この場は引くしかない。
これ以上余計な会話を続ければ、この基地が一号遺跡のレールガンで消滅することもありうるのだ。
「飛行タイプについて、画像やデータはありますか?」
基地のシステムと完全にリンクしているナナは、飛行タイプの情報に関するファイル名だけ聞けば検索し、該当のファイルのパスも全て突破して閲覧できた。
ナナは目を閉じてミライに抱き着いた。
脳内に直接再生される動画は戦闘中のヘリコプターから撮影されたもので、激しいブレが軽い眩暈を引き起こすからだ。
ふたりともその戦闘能力からは想像もつかない華奢な体格をしているが、ナナはミライから見ても一層か細く、白い。
ヴァンパイアの力でぎゅっときつく抱きしめたら、容易く折れてしまうであろうその体が愛おしくて堪らない。
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