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それは単に役割だというだけでなく、それこそがこの地において攻めの軍事作戦を始動させる重要な転換点でもある。
天使を護るために温存し続けた戦力は、やっと解放される時を迎えるのだ。
「あなた方の働きに期待しています」
ミライに腰を抱かれてぴったり寄り添うように立ちながら、幹部たちを見回す。
絶対的な庇護者である最強の魔物ミライと超科学兵器を手にしながら、更なる戦力の提供をねだる欲張りな戦いの女神。
命をかけさせてあげると言わんばかりの傲慢が、ナナという天使から発せられることで人々を熱狂のうちに戦いに巻き込むカリスマとなる。
日本に上陸してからのナナは、何か迷いが吹っ切れてきているように思える。
以前のナナなら、もっと自らが最前線に出ることになっても、天使の能力で人々を戦わせることを避けていた気がする。
決して怠惰になった訳でも、人命を軽視しているのでもない。
この先にある、天使だけが知っている海ほたるの先にある何かが、そうさせているのだろうか。
そんなミライの思いを察したようにナナが微笑む。
「これからが、ほんとうの戦争だから」
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