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 だがそれは、国家が、政府と軍が機能を保っている間に陸上の首都に見切りをつけられた稀有な例でもあった。  首都高速から海ほたるへ至る東京湾アクアラインは、浮島から海底トンネルに入るのだが。  「あ、れ?」  その入り口は、完全にコンクリートで埋められていた。  「どうすんの、これ?」  驚くミライに対し、ナナは事前に基地のデータから状況を把握していたようだ。  「海ほたる基地への陸上からの唯一の入口、エイリアンの侵入を阻むために、通行する度に隔壁の表面をコンクリートで覆っているのよ」  「でも、こっち埋めても反対側は?」  海ほたるから千葉県側へのルートは、海上を走る橋になっている。  「海上の経路は何か所かで寸断されているわ、脱出時などで必要になった時だけ架橋して通れるように」  海ほたるは、完全に陸地から切り離された孤島になることでエイリアンから守られてきたのだ。  機動戦闘車部隊が入り口を囲んで守りを固めると、降りてきた隊員たちが周辺の瓦礫の陰に隠してある工事用車両を引っ張り出して解体作業を始める。  ほんとうに通行のたびに毎回やっているのだろう、慣れた動きでテキパキとコンクリートを撤去していく。
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