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ファーザー
ゲイルたちのチームは、伯爵が潜んでいると思われるエリアで待ち伏せしていた。
「昼間は姿を隠していても、活動時間中の高位のヴァンパイアは人間を警戒なんてしないネ、きっと評議会クラスともなれば、普通に歩き回ると思うヨ」
滅多に人前に出ることが無い最上位クラスのヴァンパイアは、吸血に関しても決まった相手を家族のように城に迎え入れて行う為、基本的に狩りの対象となることが無い。
だから、ハンターたちの伝承にも彼らの情報は少ない。
様式美を重んじる高位のヴァンパイアはプライドが高く、ハンターに狙われているとわかっていても逃げ隠れせず迎え撃つ。
虫けらのような人間どもであっても、 ヴァンパイアを殺すためだけに技を磨き上げてきた者たちが集団で襲い掛かってくるのだからリスクは大きい。
それでも、力ずくで美しい人間の女の血を吸うという命がけの美食をやめることができない。
闇に潜んで永遠の時間を生きる不死の存在にとって、愚かなほど欲望に正直に行動し、正々堂々と戦って滅ぼされることは、自らの意志でその生に決着をつける行為なのかもしれない。
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