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それを徹底的に磨き上げたのがハンターの剣術だ。
超絶のスピードで佳乃に打ち込み、後悔したときにはもう速度を緩めることも軌跡を逸らすことも出来なかった。
そして、達人同士の勝負はその一瞬で決着がつく。
「え…?」
ミライの剣は空を切り、その喉元に佳乃の剣の切っ先がぴたりと当てられていた。
「やはりな…」
老人にはこの結果が予測できていたのか。
「おまえの父と兄が正確に詩織の剣の基本を習得し、おまえに伝えたことはよくわかった…間違いなく良い師であった」
佳乃がスッと剣を引くと、ミライは老人に向き直った。
「だがな、彼らが最強の存在であるがゆえに、どこまで行っても強者の剣、圧倒的にスピードとパワーに勝る者の剣であり、詩織の剣の神髄には届いておらぬのだ」
老人は立ち上がると壁から木刀を取った。
「間に合ってよかった…ミライよ、あと何日ここに居られる?」
ミライはナナを見た。
「三日…それ以上は待てません、海ほたる以降の行動計画に支障をきたします」
「そうか…それだけあれば、佳乃に伝えたことの全てをおまえにも伝えられるだろう」
それを聞いて佳乃は、少し悔しそうな表情になりながら笑った。
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