2.お話

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2.お話

「まくら、真倉(まくら)! 7時10分よ、起きて支度しなさい」 朝、枕元に声が届く。 「.......う〜。」 起きない少年が一人、布団の中にいる。 「早く起きなさい、起きないとUFOに攫われるわよ! 嫌でしょ?」 女性の声が、布団の中の少年、真倉(まくら)に向かう。 そして、その後に続いて。 「U、FO.......? えっ、UFO来るの!! どこどこ? お母さん、どこに居るの!」 大きな声が部屋に響いた。 「ちょうど今、テレビのニュースでやってるわよ、UFOが目撃されたって!」 「えぇ、早く起こしてよ!」 真倉(まくら)は焦り気味に足を地面につけて、少し不機嫌そうにそう言った。 「ごめんごめん、見るのは良いけどちゃんと学校の支度するのよ」 子どもの無邪気な様子を見たからか、真倉(まくら)のお母さんの機嫌は悪いというより、良いように見える。 「はーい、分かってるよ!」 走り気味の真倉(まくら)を後を追うように、真倉(まくら)のお母さんは着いていく。 真倉(まくら)は既にテレビに夢中だ。 「ほんとに、この子ったら」 真倉(まくら)のお母さんは見るのをやめて、朝食を出す準備に行く。 この時も顔は、不機嫌ではなく、笑みが感じられる。 「よし!UFOUFO! ってあれ? 家のテレビってこんな感じだったけ? お母さーん! テレビ変だよー!」 真倉(まくら)は、後ろを向いて。 お母さんへと伝えようと大きな声を出した。 「えっ、どうしたの? 何かあった?」 真倉(まくら)のお母さんはすぐに急いで、という程ではないが、早足で真倉(まくら)の元に顔を出した。 「ほら、テレビの画面に変な文字が写って見えないよ」 真倉(まくら)はテレビ画面へと指をさす。 それに合わせて真倉(まくら)のお母さんは、顔を動かし、目を見張る。 「ほんとに? んー.......お母さんには見えないなぁ、どこら辺にあるの?」 「ほら、画面の真ん中! ○△✕がなんたらこうたらって、うわぁーーー!」 テレビ画面に近づいて指をさそうと行動しようとした時、今までの中で最も大きな声が部屋に流れる。 「次はどうしたの! 大丈夫?」 心配そうに、真倉(まくら)のお母さんは駆け寄り、真倉(まくら)の顔を見る。 「えっ、いきなり頭がビリってした.......! ビックリしたぁ」 頭に手を当て、真倉(まくら)は自身の手を頭をこねるように動かす。 「大丈夫なの? 今も痛む? 学校には行ける?」 本当に心配そうな顔をする、真倉(まくら)のお母さん。 こういうことは普段少ないのだろう、仮病などを疑っている様子が感じられない。 「大丈夫だよ、今は全然なんともないから、学校行け、うわぁーーーー!」 再び声が流れる、が先程の最大級のものほどでは無い。ワンランク下がったような声である。 「ちょっと、休んだ方が良いんじゃないの.......! さっきから心配よ! ベットで休む? 休むわよね? そうよね? お母さん、学校に電話してくるわね!」 真倉(まくら)の返答を待つことなく、真倉(まくら)のお母さんは行動し始める。 余程心配のようだ。 「うぅ、今日なんかおかしいなぁ.......。 ん? あれ、これなんだ! 取れない!」 そんな時、真倉(まくら)真倉(まくら)で大変な事が起こっていた。 目元に、メガネが着いていたのだ。 そして、それは自力で取れなくなっていた。 [▽◆●○△△♂♀] 声のようで、人語とは違うような声が聞こえる。 動物で無理に例えるなら、小型の犬と猫の鳴き声を混ぜたような声の人が、口いっぱいに食べ物を入れて喋っているよう。 実際に、それでこんな声になるかは分からないが、 それが近いように感じる。 「なんか、声みたいで気持ち悪い.......僕、日本語しかワカリマセェン.......。」 [△▽△▽○、了解しました、音声を日本語へ切り替えます] 先程の真倉(まくら)の声に反応して、人語とは違うことが、人語に変わる。 それも、真倉(まくら)の分かる、日本語に。 「なにこれ.......凄い、凄いってことは、もしかして! もしかして! UFOの侵略! ついに来た!?」 謎理論を展開して、メガネが日本語を話し始めたことには触れず、UFOに触れる。 [厳密には違うと思われます、侵略ではなく、主人、つまりマスターを探しにまいりました] 「マスター? なんか、カッコイイー! もしかして僕だったり?」 求めるものは様々だが、ここでは目先の好奇心が勝ったらしい。 そして、それに合わせた声が来る。 [はい、あなたがマスターです。変更は出来かねますことを、お許しください。ということで自己紹介をしておきますね、私はα式レンズ001(アルファシキレンズゼロゼロワン)、宇宙ガジェットと呼ばれる物です、これからよろしくお願いいたします] 「なんか、ゾワッとして.......ワクワクする! よろしくお願いします、ありふぁれんすぜろぜろやんさん!」 [違います、αレンズ001です、さんも付きません] 「言いにくいの! それに長い! 面倒だからレンズ、君はレンズさんね! これなら、僕も言える」 [マスターの不満を感知。了解しました、認識名をレンズさんに変更します]
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