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午前1時
午前1時。
僕はラジオをつける。
子供の頃に買ってもらった、手動でチューニングするような年代物のラジオだ。
久しぶりに聴く深夜ラジオからは、懐かしき『ビタースイート・サンバ』が流れていた。
深夜ラジオの面白さを知ったのは、小学5年生の時に同じクラスのナオから聞かされた裏話がきっかけだった。
普段優等生のタレントが、なぜか深夜ラジオ限定で『夜の顔』を見せてくれる。
その『夜の顔』はテレビの顔とはかなりのギャップがあり、ラジオを聴いていると、まるで自分が『ツウ』にでもなった気持ちになるのだ。
勉強机の上にラジオを乗せて、算数ドリルを開く。
ラジオに耳を傾けながら宿題をやっつけるのは、思いの外楽しい作業だった。
くくくっ、と含み笑いをしつつ単純な計算を解いていく。
話に夢中になっている時は、もちろん手は止まっていて。CMや曲が流れている間に、あぁ、計算!計算!と頭を働かす。
パーソナリティのトークは、子供の僕には想像を超えた下ネタも多く。正直、さっぱりわからない単語もあったけれど、きっとスケベな話をしているに違いないとピーンときて、顔を熱くしながら胸をときめかせた。
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