プロローグ

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プロローグ

   ガラ、ガラ、ガラン、と乱暴に鳴らされたドアベル。  興奮し、肩を揺らしながら入ってきた男。  額の汗をぬぐうこともせず、2歩3歩とよろめきながら進む。  その姿、一見するとギャングに追われた哀れな青年。    いや、哀れなもんか。  追い出したくても、しつこく頭の中を支配している男だ。  奴は近づくなり呼吸を乱したまま 「なあ、お、覚えてるか?」  と自信なさそうに口にした。  俺はちょっと首をかしげて「どちら様?」と言ってやった。 「だよな……」と涙目になっている奴を見下げ、片口上げてこう付け加えた。 「あほ。待ちくたびれたっつーの」  全ては『ビタースイート・サンバ』の魔法かもな。
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