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傘の外側は、灼け付く陽射しの世界。
目の前に見えるのは、どこまでも青い水平線。
首を後ろに曲げると、鬱蒼としたジャングル。
白い砂浜は裸足ではいられない熱を持っている。
どのくらい寝ていたのか分からないが、下手したら死んでいた。
冷静になればなる程、今の境遇に悪寒を覚える。
左手首には見慣れないものが付いている。
スマートウォッチだろうか?
『MOJ』と刻印がされている。
聞いたことがないブランド名だが、最近見た気がする。
じっと謎の物体を見詰めていると、起動した。
視線認証だ。
ピピピ……。
『ヨウコソ ヤツダショウタサン』
『アナタノ アイテムノ 認証ヲ 開始シマス』
『7文字デ 登録シテ クダサイ』
モニター部に流れる無機質な文字列。
……あぁ、なんとなく想い出してきた。
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