小説の中の世界

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「おい、ここはどこなんだ!?」  色月 平(いろつき たいら)は叫んだ。 「うるせえ、黙ってろ!」  男の脅すような声に思わずびくついてしまう。  一瞬のことだった。  車の中に引きずりこまれて、目隠しされて手足を拘束されたのだ。車はガタガタ揺れている。どこに行こうとしているのだろうか。  色月 平は、幼稚園の頃に両親を失った。もう物心がついていた頃だったから、両親が亡くなったと聞いてとんでもなく悲しくなった。それからというもの、悲しさであまり喋らなくなった色月 平は、周りの人からいじめられた。  死んでしまうのだろうか。  死にたくない、死にたくない。  色月 平はもがくがその声は誰にも届かなかった。  [完]
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