0人が本棚に入れています
本棚に追加
はじまり
鈴木愛実24才。
華の20代前半を過ごし、そこそこの見た目と愛嬌で大概何処へ行ってもちやほやされる。
なかなか誘いに乗ってくれなさそうに見えてお酒が飲むのが好きで、奢ってあげるって言えばある程度の所なら飛んでいくのでワンチャンあるのかな?と思ってる男はたくさんいるだろう。
一時流行った「隠れビッチ」という言葉にドキッとさせれてた。そんなことメディアで言われたら行動しづらくなる。
愛実はチヤホヤされたいがために芸能界を目指していた。
そこそこ可愛くて、そこそこスタイルよくて
要領がよい。
使い勝手は良いはずの人材。
だが、そんな子はゴロゴロいて、
いけるかも?
と思う子の側には悪い大人がよってくる。
「可能性があるよ」は可能性がない。
芸能界入りを目指しはじめ、
がむしゃらにオーディションを受けた。
その中に印象的なオーディションが2つある。
芸能人の名前を使った
「○○プロデュースの映画オーディション」
当然、芸能人の名前が入っているから安心安全!って思っていた。
そのオーディションでは合格。
見込みがあります。なのでワークショップを受けてこの中で輝けば主役もあり得るかもしれない。
違う。
この子から「お金を奪い取れる見込みがあります。」が彼らの本心だ。
大概の事務所やワークショップオーディションはそのワークショップ代で稼いでる。
本当に映画を作るか、本当に売り出してくれるかは別の話だ。
だが、なにもしらない当時は
私には見込みがある!
必ずとっぴ出て売れる!って信じてた。
淡い期待。
こうやって無知な人たちは騙されていく。
それから2ヶ月後。
もう一つの印象的なオーディションに出会った。
「○○2」
はっきりいって別作品と思って応募した。下調べが甘くて自分が残念すぎる結果だ。
時代劇もので1作品目で大成功をして、海外でも評価された。予算がおりたので2作目を。
真っ赤な嘘である。
実際は身内の安いAVカメラマンに無料で撮ってもらい、みんなで車を借りて撮影にいく。自主映画の底辺みたいな作品。
オーディション後に作品を調べてみてもはしくれの作品だからネットで出てくるわけがない。が何故か予告動画みたいのだけ視聴できた。
そんなんでどんなレベルかなんて芸能界目指したての子が分けるわけがない。
「今度舞台があるので招待するから是非観に来てください」
これで行って映画が決まるならお安いものだ。と思って観に行くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!