はじまり

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約束した日に上野へ向かった。 時間がもったいないと思い、急遽午前中にオーディションなんだか打ち合わせなんだかよくわからない予定を入れた。 というよりオーディションと思って向かったらよくわからなかった。笑 「俳優目指してます!フリーです!」 っていう子の大半はこうゆうよくわからない打ち合わせに直面すると思う。 公園の暗闇に連れてかれ、台本を読み、 ひとまず無事に終える。 今思えば強姦AV録られてもおかしくはない状況。 何事もなく良かったなと思う。 そこから呼ばれたイベント会場まで徒歩圏内だった。 行ってみると凄い人手。 外国のフェスタが行われてた。 家から上野までは距離があったので毎週末なにかイベントをしているらしいというのは知っていたぐらいで行ったことがなかったので度肝を抜かれた。 たくさんのテントやキャンピングカーがずらっと並び、食べ物屋さんや物が売ってる。 ビール片手に外国料理を楽しんでいるお客さんたち。 その真ん中に広場がありそこの真ん中に彼らがいた。時間交代制で様々な団体がそこでパフォーマンスするらしい。 彼らは着物姿に刀をもち、大人数でそこにいた。そこの床全体に敷かれたブルーシートのせいで違和感が増す。 「お疲れ様です!」 「おお!来てくれたんだ!」 と、代表とは別の大柄な男の人が答える。代表が近づいてきて、 「そろそろ始まるから一番見やすい所からみて!」 と、人混みの先端に座らせられる。 やはり大したことはない。が、お祭り騒ぎのような楽しさは伝わる。お客さんもお祭り好きなんだろうな。といった印象だ。 パフォーマンスがおわり物販でスタッフがしっかりしていなかったのでお手伝いをする。謎に睨み付けてくるおばさんスタッフ。 そして何故か磨ききれてない彼らにはお客さんがいて、ブロマイドが売れていく。 …なんでだろう? と、疑問に思いながら地下アイドル同じ感覚なのかな?と思うと少しふにおちた。 「このあと打ち上げするから時間あるなら是非残って!」 映画が決まるかもしれないからすこし残っても良いかな。と思い承諾をした。 打ち上げといっても公園のいっかくに集まって缶ビールを呑むだけのもの。 特に何事もなく時間が過ぎて行く。 缶ビールを奢って貰っても実家くらしの私にとってはさほどありがたみはないが感謝を伝える。 突然、代表に呼び出される。 「稽古が毎週あるんだけど、家遠いから皆には内緒で無料でも良いから是非来てほしい。体験だけでも是非来て」 無料で殺陣が覚えられるなら自分の肥やしにもなるし良いのかもしれない。そう思い 「是非!」と答えたのが地獄の始まりだった。
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