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「クリスマスに予定はある?もしないなら、一緒にお祝いしない?」
シューズを眺めていたショウは、振り返るといった。
「え?、空いてないけど?」
サワの答えは、ぶっきらぼうだ。
「それ、超ショック。サワちゃんフリーだって言っていたのに、彼氏いたの?」
サワは慌てて否定する。
「クリスマスは金曜日、平日よ。普通に仕事があるから。」
(働くって、あなたみたいな学生とは違うのよ。勉強さえしていればOKってわけにいかないんだから。)
余裕のないサワ。お説教モードな自分が、つい余計なことを言いそうになる。
「そうだよね。俺も、バイトのシフト。」
ショウのテンションも下がる。
(いけない、いけない。私ってイヤミなやつ。)
ショウはふわふわしていて、学生生活が楽しそうだ。私の仕事の悩みなんて、想像つかないだろうな。
明るいのは、彼の良いところ。
「仕事なんて、ちっとも楽しくないよ。年末は立て込んでて忙しいから、クリスマスの日は、疲れてて不機嫌かも。」
サワは話し出した。一度口を開くと止まらずに、感極まってつい泣けてくる。
その日ショウは、辛抱強くサワの愚痴に聞き入った。
「サワさん、大変だったんだね。仕事のことは俺には分からないけれど、よく頑張っていると思う。」
ショウは、とっても聞き上手だ。
「サワさんは、悪くないよ。ところで。ねえ、さっきのクリスマスの話だけど、仕事終わりにちょっとだけでも会えない?だめ?」
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