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その次の面談は、何の進展のないままやってきた。
「それで、あなたは受験しないのね。」
担任は、サワの顔を覗き込んで確認する。
「なるべく早く働きたいんです。」
答え方は、わざとらしいほどぶっきらぼうだったが、サワの心の内を気にかける人はいない。
「そう。分かったわ。」
真木サワのファイルは、パタリと閉じられた。
家に帰って、祖母に今日の面談のことを伝えた。
いかにも古風な主婦である祖母は
「勉強ばかり熱心でも婚期が遅れるから、それでよかったわよ」
と、しきりに孫を慰めた。
サワには、何もかもどうでもよかった。
これでせいせいした、と自分では思っていた。
今はただ、家族の援助を受けない真っさらな未来が待ち遠しい。
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