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彼ってアタシより五つも年下だけど、カッコいいし、アタシも嫌いじゃなかったから、もしかするともしかするかも、なんて少し期待してドキドキしてたんだけど、でもね、実際はね、あくまでも相手役として呼ばれただけだったの。
彼がいる『淀川ドリーマー』って、グループの内でのメンバー同士の競争が結構激しいらしくって、こういうお仕事もしっかりやらないといけないんだって。それにリーダーの「たっくん」が、あっ、「たっくん」というのは田積幾多郎くんのことね、そのたっくんがライバルだって、『絶対負けられない』って、対抗意識をすっごく燃やしてたのよ。だから、あの日、アタシを自分の部屋に呼んでくれたんだけど、アタシなんか全然眼中になかったみたい。だってアタシが台詞をトチるとすっごい怒られたもん。本当に熱心だったんだ。だから、彼と何かあったなんて微塵もないわ。あまりに熱心だったから、アタシ、うっかり好きになっちゃいそうだったけどね。
(続く)
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