君とバレエと世界と

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「かっけー。なんだっけ、ぼり……」 「ボリショイ、だね」 「そーそ。それそれ。あれ?でもそれ、篠崎も行くとか言ってなかったっけ?」 え、知らない。そんなこと僕、聞いてない。 「俺見たんだよ、隣の席だからさ。確かボリショイ…だっけ?そんなん書いてあった。なんとかバレエ団みたいなの」 「じゃあ一緒じゃん!よかったね、瞬くん」 「…あ、ああ。うん。心強いね」 どうしてそんな重要なこと、言ってくれなかったんだろう。 まだそんなに僕ら親密じゃなかったからだろうか? だけど僕も、こんな時期なんだから進路のことについて一言でも聞くんだったな。 僕は、腹の底から湧き上がってくる何か、ワクワクに似た感情のままバレエ教室へ向かった。 「篠崎くん、冬休み、毎日来るんでしょ?」 「……うん。君は?」 「僕も。だけど、後半はちょっと忙しいかな」 「バレエをやらないのか!?」 篠崎くんは気迫迫って僕に聞いた。 その声の大きさは周りの人の注目を集める。 「篠崎くん、無駄に声でかい。どこに隠してあるの?その肺活量」 「バレエ続けるんだろうな?」
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