背徳のオメガ 2

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誰にも迷惑をかけず、誰も知らないところで僕は消えよう。養子を解消したのも、本当は両親に迷惑をかけたくなかったからだ。 だけど、僕は最後に思ってしまった。もう一度、兄に会いたいと・・・。 一度そう思ったら、思いが止まらなくなった。 会いたい。 触れたい。 兄の香りに包まれたい。 そして、どうせ消えるのだからという思いが、僕をより大胆にさせた。 そんなに簡単に成功するとは思っていなかった。 あくまで計画は計画。 一つでも狂えば、失敗するはずだった。 兄の友人が飲み会を開いてくれなかったら。 兄が酔わなかったら。 誰かが兄を送ってきたら。 僕の計画など、すぐに失敗するはずだった。 なのにあの夜は怖いくらいにことが進み、そして・・・。 それでもお腹に子が宿らなければ当初の予定通り、この世から消えようと思っていたのだ。 だけど・・・。 「小さな騎士は生まれる前から君を守っていたんだね」 嗚咽を上げて泣きじゃくる僕をぎゅっと抱き締め、アダムは言った。 「君のしたことは確かにいけないことだろう。だけど、君が今ここにいるためには必要な事だった。そして僕は、君に会えたことに感謝している。ユイト、生きていてくれてありがとう」 今日会ったばかりなのに、アダムの腕の中は心地よく、香りは僕を落ち着かせてくれる。 「許されない罪などない。もし君のお兄さんが君に怒り恨んでいたとしても、誠心誠意謝ればいい。許してくれないのなら、許してくれるまで頭を下げ続けよう。その時は僕も一緒に謝るよ」 その優しい言葉に、僕の心はぎゅっとする。 「アダム。そう言ってくれてうれしいけど僕は・・・」 アダムをそういう風には愛せない。そう続けようとした口を優しく手で塞がれた。 「分かっているよ。だけど誰かを思う気持ちはその人の自由だ。君がお兄さんを思うように、僕は君を思う。番になどならなくていい。肌を重ねなくても、こうして僕の腕の中にいてくれたらそれでいい。これから先の人生のパートナーとして、僕のそばにいて欲しい」 それは深い関係を結ばないってこと? アダムはそれでいいの? 「今までだってベッドを共にする相手はいなかった。そういう意味では変わらないんだから、そんなことは気にしなくていい」
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