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結愛への思い
僕は彼女に出会ったその日から彼女への思いが増していった。
彼女の顔や声が僕の頭から片時も離れる事が無くなった。
僕は毎日、その喫茶店へ通い始めた。
カランカラン~
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
僕は指で1を作り合図を出す。
「こちらの席へどうぞ。」
僕が席へ座ると彼女が、
「いつもありがとうございます。ご注文お決まりになりましたら、お声かけ下さいませ。」
お水と使い捨ておしぼりをテーブルに置くと、ニッコリ微笑んだ彼女は、また厨房の方へと戻って行った。
いつもありがとうの言葉が嬉しかった。
僕の事を確実に覚えていてくれている。
もう1週間くらい毎日、この喫茶店を訪れている。
僕の心も確実に癒され、もうこの命が亡くなってもいいくらい満足している。
だけど、彼女と一緒になれたら、どんなに幸せか想像してしまうようになった。
僕は彼女と30歳、離れている。
もうとっくに人生の折り返し地点は過ぎている。
もうすぐ仕事も定年退職で無くなる。
第2の人生、彼女と一緒になれたら、どんなに幸せなんだろう。
毎日通っていると少しは会話する様になった。
この間、彼女の年齢を聞いたら34歳だった。そして僕は64歳で、30歳も差があるんだ。
「すみません。」
「はい。お待たせ致しました。ご注文お決まりでしょうか?」
彼女が急いで来てくれた。
「はい。今日はコーヒーとナポリタン1つ、お願いします。」
僕は気付かないうちに笑顔になっていたようだ。
「かしこまりました。すぐにお作り致します。初めて笑顔を見せてくれましたね。」
彼女はそう言うと満面の笑顔で厨房の方へ向かって行った。
僕が無意識で笑顔が作れるなんて想像もつかなかった。
僕は彼女に影響され、少しずつ何かが変わっているのかもしれない。
いや、確実に変わっている。
「お待たせ致しました。コーヒーとナポリタンです。鉄板がお熱いのでお気をつけ下さい。ここのナポリタンも最高に美味しいですよ。ごゆっくりしていって下さいね。」
彼女の笑顔に僕は完全にやられてしまう。
彼女の笑顔につられ僕も笑顔になった。
そんな彼女の側に僕はもっと居たい。
もし奇跡が起こるなら命だって惜しくは無い。
僕は彼女の事が誰よりも好きなんだ。
逃したくないんだ、、
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