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結愛へのアプローチ
次の日、僕は花を持ってまたあの喫茶店へ行った。
入り口を入ると彼女ではなく、いつもレジにいる店主の妻が居た。
僕は無意識に店内を見渡していたようだ。
「いらっしゃいませ。今日は松田はお休みですよ。」と、小さな声で言うと微笑んだ。
僕の気持ちはバレている様だ。僕はつい苦笑いをした。
「空いてる席へどうぞ。」
僕は、いつもの席に座った。
すぐに水とおしぼりが運ばれてきた。
「今日は松田がお休みで、すみません。ご注文決まりましたら声かけて下さいね。」
「はい。もう決まってます。コーヒーとハムサンドをお願いします。それと、このお花良かったら、どうぞ。」
「ありがとうございます。でも、このお花、松田に渡すつもりだったんじゃないですか?明日出勤するので、渡しておきましょうか?」
「大丈夫です。貴方に。」
「ありがとうございます。すぐにコーヒーとハムサンドお作り致しますね。」
そう言って厨房の方へ戻っていった。
それから彼女が休みの時は、その店主の妻とも良く話をするようになり仲良くなっていった。
彼女とも少しずつ仲良くなり、ある日、僕が喫茶店へ行くと彼女が、
「いらっしゃいませ。あれっ?鈴木さん、また若返ってません?」
「そうかな?僕若返っていますか?」
「はい。そう見えますよ。」
「そんな事ないですよ。君が毎日、僕に元気と癒しをくれるから僕は若返って見えるんじゃないかな。いつもありがとうね。」
僕は、日に日に彼女と仲良くなっていき、日に日に若返っていた。
それと同時に僕は、またあの木の夢を見るようになっていた。夢ではカウントダウンが始まっていた。
時間がどんどん迫って来る中、僕は彼女に告白をした。
彼女に帰り際、手紙を渡した。
「これっ、受け取って下さい。また明日返事を聞きにきます。」
彼女はビックリした顔をして、何かを察したかのように、
「分かりました。明日もお待ちしております。」
そう言って微笑んでくれた。
次の日の帰り際、彼女が僕の告白の返事を返してくれた。
答えはYESだった。
僕は今まで生きていて1番幸せだった。
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