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☆ ☆ ☆
わたしは、デブネコを抱いたまま男の子のうしろをだまって歩いてついていった。
もう10分くらい歩いたかなぁ。
この子、ちょっと……いや、かなりの重量級だから、腕がプルプルしてきたんですけど!
「……ねえ!」
思いきって男の子に声をかけると、男の子は突然立ち止まってわたしの方を振り向いた。
「着いた」
「えっと……この子のおうち?」
門の横の表札を見ると、『犬飼』と書いてある。
ふぅん。犬飼さんだけど、ネコ飼ってるんだぁ。
いや、べつに犬飼さんがネコ飼っちゃいけないわけじゃないけどさ!
などと心の中でひとりツッコミをしていると、
『家ん中に、犬もちゃんといるよ』
そう言って、デブネコがふっと笑った。
「そ、そうなの!?」
思わず大きな声を出してしまい、わたしはあわてて口をつぐんだ。
「どした?」
「う、ううん、なんでもない!」
けげんな顔をする男の子に、わたしは首を左右にぶんぶん振ってみせた。
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