2.リンデンバウム

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2.リンデンバウム

タイトル 『リンデンバウム』 作≫けいたん ≫私は傘を差し孫の手を引いてその大きな樹のもとに立った。 梅雨の中休みと天気予報では言っていたのに外れてしまった。 「プロポーズの樹ってこれ?」 孫はあの人にそっくりな好奇心いっぱいの顔をしている。 黄色い小さな花の甘い香りをまとった雨粒が、私と孫を包んだ。 あなたを愛しています、結婚しましょう。 そのことばをなぞるたびに私は幸せだった。 これまでも、これからも。
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